投稿に関する責務(倫理指針)

投稿要領

論文の掲載を求めて投稿する著者は倫理的な規準を満たして活動しなければならない.本責務は、個々の論文について,オリジナリティを有し優れた水準が確保されたものとするために必要とされる.しかもその際に,著者は他者の諸権利を侵害してはならない.

1.論文投稿の要件

投稿する論文は,投稿規定に示された諸条件を満たしたものでなければならない.商業目的の原稿を投稿することは不適切である.

2.共著者

著者は,当該論文の完成に本質的な貢献を果たした者であり,またその範囲に限られる.貢献のないものを儀礼的に共著者に加えることは認められない.さらに,著者全員がその論文公開に同意していなければならない.なお,死去した者であっても,これらの条件(同意の条件は必須とせず)のもとに著者とすることができる.

3.二重投稿

本質的に同一内容の論文原稿を,原著であることが要求されている複数の論文誌に投稿してはならない.

4.十分な情報の提供

論文において著者は,その研究の背景となる以前の研究や,その研究を再現したり検証・評価したりするために必要な情報を明らかにし,論証の過程を示さなければならない.また,他者の論文等について十分なレビューを行うとともに,その引用元を示さなければならない.

5.他者からの引用等に際しての注意

著者は,他者からの情報を引用するにあたって,他者がもつ著作権の存在に留意しなければならない.論文の内容が他者の著作権を侵害した場合には,その責任はすべて著者にある.より具体的には,

  1. 公表された著作物からの引用は,著作権法第32 条に記述された要件を守らなければならない.
  2. 会話・書簡・第三者による議論等で個人的に得た情報は,情報提供者の許可なく引用し,内容を公表してはならない.
  3. 企業等における未公表の知的財産の不正利用は行ってはならない.

6.他者の論文の批判的引用に関する注意

著者が他者の論文に対して学術的根拠をもって批判的に引用・記述することは許されるが,根拠不明のままに批判したり,誹謗・中傷したりしてはならない.

7.捏造,改ざん及び盗用の禁止

投稿原稿には捏造・改ざんされた情報が含まれていてはならない.また,他者の論文からデータ等を盗用してはならない.

8.他者の未発表データ等の扱い

未発表の結果,データ,またはアイデアを所有者もしくは著作権管理者から許諾を得ずに記述することは,暗黙に自らのオリジナルであるかのように盗用することになるので行ってはならない.

9.調査対象者・被験者等の人権等の保護

著者は論文に先立つ研究において,調査等の対象者の人権等を侵害してはならず,また実験等に際しては被験者の生命・健康・プライバシー及び尊厳を守らなければならない.特に,生命・生体に関わる実験を実施したデータが記述されている投稿原稿には,人間を対象とする医学研究の倫理的原則である『ヘルシンキ宣言』(注),並びに関連する我が国の倫理,法律及び規制上の規範・規準に則っていることを示す記述,例えば「所属機関等の倫理委員会あるいは動物実験委員会の承認を得ている」等の記述がなければならない.